私の86感

86のある暮らし

消え逝く行き着け

私には、行き着けのガソリンスタンドがいくつかあったが、次々と潰れて行く。

私は、セルフのガソリンスタンドが苦手だ。

嫁等は、セルフの方が安いから迷わずセルフへ行く。

私は心の中で、

「安さではないのだよ。」

と呟く。

私は昔、シャコタンブギという漫画の登場人物でジュンちゃんに憧れた。

そして、その傍らにはガソリンスタンドで働くタクちゃんが居た。

ジュンちゃんが、走りに行く前にタクちゃんのガソリンスタンドでガソリンを入れて行く。その時の些細な遣り取りが、私は好きだった。

私は、ガソリンの値段を気にせず、私の中のタクちゃんを探しガソリンスタンドを転々とした。

しかし、そんな都合良く見つかるモノではなかった。

そんな中、近所の老夫婦が営むガソリンスタンドに行き着いた。

その老夫婦と車の話ではないが、些細な世間話ができるまでになっていた。

私は、そんな老夫婦との距離間をとても気に入っていた。

しかし先月、急に店を閉めると言い出した。

私の何故と言う問いかけに、老夫婦は昔程儲からない事、大手企業の圧力、貯蔵タンクの寿命等を答えた。

「寂しくなるなぁ。」

と言うと、老夫婦は

「長い間、ありがとね。」

また、新たなガソリンスタンドを探さなければ。

私が車に乗り出して、何回めだろうか?ガソリンスタンドを変えるのは。

フッと今まで、通い詰めたガソリンスタンドを思い出す。

それと同時に、いつまでガソリン車は日本で走り続けられるのだろうか?と意味の無い事を考えてしまう。

私は、マフラーから出る焼けたガソリンの匂いが好きだ。しかし、当然ながら電気自動車にはそれが無い。メーカーは、魅力溢れる電気自動車を作ってくれるのだろうか?

いつ頃からだろうか?自動車が只の移動手段に成り下がってしまったのは。

私の中で自問自答が、繰り返される。

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