私は、臆病だ。
カーブを曲がる時、毎回いつリヤが滑るのかドキドキしている。
そんな話を、伝説の走り屋池田さんと談義していると、スタビライザーを変えてみてはどうか?と。
カーブを曲がる時、踏ん張りが効くという。
私は、早速内山に連絡する。
彼は忙しいらしく、軽く3週間待たされる。
いい加減、この店を卒業したいのだが。商売柄、なかなかそうはいかない。全くどうしたモノか?
等と悩んでいると、内山から電話が鳴る。
私は、予定が早まったのかと電話に出る。
「モリヤスが警察に捕まりましたが、ニュース観ましたか?」
私は、仕事をしているのでテレビなど見る余裕が無い。
モリヤスとは、私が兄と慕う守安誠が経営するバイク屋である。
彼は、私の6割の人格を作ったと言っても過言ではない。私にとっては、素晴らしい人間である。
私は次に彼と会うのが、とても楽しみである。
どうやってこの苦難を乗り切るのかが。
しかし、そんな連絡をしてくる内山に私は
「お前、仕事してるのか?どんだけ暇してるんだ?」
等と、話しているうちにTRDのスタビライザーセットを取り付ける日がやってきた。
今回の代車は、水色のアクアだった。
まだ、内山が新車で購入したプラドは解禁ではないらしい。
作業は1日で終わり翌日、早速通勤にて86に乗るも行きも帰りも前方に車両が走行していて、思うように走れない。
私は、焦る心を押し殺して安全運転に努める。
2日目、ようやくその機会は訪れた。
高速走行で、カーブに入る。
コーナーリング中、86がとても安定している。
私は、もっと早く走れると確信した。
素晴らしいパーツを、手に入れたらしい。
と、伝説の走り屋池田さんに若干興奮気味に話しをすると、とても興味深く聞いていた。
スタビライザーセットをあんなに薦めていた池田さんは、今までこのパーツを取り付けた事が無かったらしい。
私は、オイオイ!っと思わず心の声が漏れた。
池田さんも、そろそろコチラ側へカムバックするか悩んでるらしい。
私は、彼の乗る86と一緒に走れる日をとても楽しみにしている。