最近嫁は、仕事の事で病んでいた。
私は昨日のサーキット走行会で夏風邪がぶり返していたが、病んでいる嫁には息抜きが必要と思い外へ連れ出す。
私がまず目指したのが、伊賀上野城だった。
高速道路に乗り美合のパーキングエリアで、トイレ休憩をしながら高速道路の情報を得る。
飛鳥〜長島と亀山JCTが、大渋滞していた。
私は急遽目的地を変え、郡上八幡城に向かう事に決めた。
森さんから貰ったナビを頼りに、岐阜県へ向かう。
ナビは、一宮のJCTから北陸道へ向かうルートを示している。私は、東海環状の方が速いような気がするが、ナビを森さんを信じた。案の定、一宮JCTは渋滞していた。
助手席の嫁は、眠りにつこうとしていた。私は、嫁を起こしてナビを頼んだ。
渋滞を抜けて郡上八幡ICで降りると、また渋滞していた。お盆は、何処へ行っても混んでるという事か!私は、郡上八幡城を目指し86を走らす。
城下町は祭りのせいか、浴衣を着た人や観光客で賑わっていた。駐車場も、ほぼ満席だった。私は、不安になった。
しかし、城下の駐車場整理の人に話しかけると
「上の駐車場は空いてるよ。」
私は安心して86で登城したが、この登り坂が悲劇の始まりだった。
勾配がキツく、カーブもキツかった。途中、後輪が浮き空転して前に進めない。そんな時、徒歩で登城してるオバチャンの心無い言葉が、私をイラつかせる。
「こんな車が通るのを待ってたら、日が暮れるわ。先に行こう!」
私は、このオバチャンはロクな死に方しないと思い立往生していると、親切なお兄さんが
「後輪浮いてますよ。私が後ろ見ますから、一度バックして下さい。」
と言って後ろを見てくれた。
私は、
「ありがとうございます。」
と伝え危機を脱した。
まだまだ、日本人も捨てた者ではないと思った。
そしてこの時、二度と郡上八幡城は86では来ないと心に誓った。
そして、郡上八幡城に到着した。
山の上に聳え立つ郡上八幡城は、今まで拝見したお城のベスト10に入る程立派なお城だった。
しかし、お城見学中も私は不安と闘っていた。
登ったという事は、降りなければならない。
下り坂は、どのような道なのだろうか?また、悲劇が待っているのだろうか?
しかし、下り坂は上り坂に比べとても簡単だった。
嫁の休日は一日だけなので、私は急いで帰路に着く。帰りはナビを頼らず、私の思う道を帰る事にした。
東海北陸道を走っていると、槍のような雨が降り出す。俗に言うゲリラ豪雨だ。私は、必要以上にスピードを緩め運転している。
昼食もとらず運転している為、風邪薬も飲めず咳込んでいると、嫁は煙草を吸いながら
「風邪、大丈夫?」
と心配してくれるが、私は怒りを覚えた。
車内の狭い空間で煙草を吸われたら、咳込むのは当然だと思うのだが?嫁は本当に私の心配をしてくれているのだろうか?
東海環状に入る頃、白バイを二台見かけた。高速道路で白バイとは珍しい。
私は心の中で、
「御苦労様です。」
と呟いた。
新東名の岡崎SAで、遅めの昼食をとる。SA、PAは何処もいっぱいだ。
私は嫁に
「今日は、あまり楽しめなかった?」
と問うと嫁は
「楽しかったよ。」
と言ったが、顔は曇っていた。