週末の仕事帰り、私は足早に86を走らせていた。
何しろ明日は休みだ。何処へ86でドライブしようか、考えていると自然と笑みが溢れる。
足早と言ったが、しっかり法定速度を守り一般車線を走行していた。
追越車線に移り走行していると、前の車がゴールドのレクサスSCだった。
私はテールを眺めながら、昔2代目のソアラに憧れていた事を思い出した。昔の漫画のシャコタンブギの影響だ。シャコタンブギの世界では、2代目ソアラはニューソアラとして登場している。
そんな思い出に浸っていると、レクサスSCは道を譲ってくれた。
私は、アクセルを踏み込み前に出る。レクサスSCに礼を言うかの様に横に目をやると、黒人が運転していた。私は軽く会釈をした。
妙に、ゴールドのレクサスSCと黒人の組合せがオシャレに見えた。
しかし、会釈が誤解を招いたのかレクサスSCが、私の86の背後にピタッと貼り付いた。
私は、5速へギアを落としアクセルを踏み込み加速して行く。しかし、背後のレクサスSCは離れない。
恐るべしレクサスSC。
そうこうしているうちに、オービス手前まで来てしまった。私は減速し一般車線へ移ると、レクサスSCはフル加速して行く。
その後ろ姿は、とても逞しく見えた。私には、出来ない芸当だ。私は軽く敬意を表した。
不思議と敗北感は無かった。
言い訳だが、生きてる世界が違う気がした。